米国市場でのアナリストの影響力について

顧客にメッセージを伝えるやり方には色々な方法があります。広告、展示会への出展、e-mail等…。その中で、最も効果的なものの一つにPublic Relations(以下PR)があります。新聞やニュースサイトなど、顧客が信頼しているメディアを通して自分たちのメッセージを間接的に伝えていくやり方です。よく知られた第三者を通すことでメッセージに信頼感を与えられるのがPRのメリットです。
今日のエントリでは、私が担当している米国IT市場におけるPRの特徴の一つについて書いてみたいと思います。

その特徴とは、アナリストとの関係管理(Analyst Relationsとも言います)が非常に重要なところです。アナリストは他のメディアに対して大きな影響力を持っていて、新聞やニュースサイトの記事には有名アナリストのコメントが一つ二つ大抵載ります。記者はアナリストをある分野の有識者として認めていて、有識者からのコメントを添えることで自分の記事に信頼あるものにしようとする、という構造です。
そのため、アナリストに自社のメッセージを正しく理解してもらい、納得してもらい、そして自社製品のファンになってもらうことがPRを効果的に行う上で非常に重要なポイントになります。
IT市場ではGartner、Forresterなど、プレスに多大な影響力を持っている大手のアナリスト集団がいくつかあります。このような大手はGartnerのMagic Quadrantなど業界で広く認知される製品評価を行うため、よい関係を築くことが取り分け重要になります。
大手のアナリスト集団との関係管理は、マーケティング活動だけでなく営業活動にも直接の影響を及ぼします。大手のアナリスト集団は顧客へのコンサルティングを広く行っていて、顧客とコミュニケーションを直接行うためです。顧客が購買にあたりアナリストに意見を聞くという光景は米国市場では日常的に見られます。
米国では独立アナリストや、ある製品部門に特化したブティック型のアナリスト集団も数多く活躍しています。私の専門であるストレージ市場では、目立つ人だけ数えても10人以上が活躍しているのではないかと思います。大手のアナリストと比べ、彼らは先端技術により強い傾向があります。アナリストたちは相互の情報交換を広く行っており、特徴のある新製品は必ず彼らの間で噂になります。ここで噂になるかならないかで、だいぶメディアでの取り上げられ方が変わってきます。また、独立アナリストの方たちは大抵ブログやTwitter等で情報発信をしており、顧客のテクニカル・バイヤー(技術責任者)にも大きな影響を与えています。
ここまで述べてきたように、米国ではアナリストがPRにおいて大きな役割を果たしており、ここは米国市場のPR活動の大きな特徴の一つだと思います。