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有名アナリストファームが個人ブログ禁止令

従業員に、個人ブログで仕事に関する情報を発信することを許すかどうか―これは、なかなか難しい問題です。

個人ブログを書くことを許せば、それだけブロゴスフィアに対する自社の影響力を強めることができますし、業界関係者とのネットワークも強化されます。しかし、それに伴うリスクが色々とあることもまた事実です。

本日は、一つの実例を取り上げつつ、このトピックについて少し考察してみたいと思います。

Forresterが個人ブログを禁止

先日、米国のアナリストファームの有名どころの一つであるForresterが、アナリストに個人ブログを書くことを禁止したというニュースが入りました。

http://www.sagecircle.com/index.php?option=com_wordpress&p=4482&Itemid=54

Forresterのアナリストのうち何人かは、会社サイトとは別のところで個人ブログを持っており、そこで自分の考えを積極的に発信していました。

今後は、そのようなブログは全て停止する必要が出てくるわけです。

なぜ禁止したのか?

上記の記事によれば、以下の様な流れで個人ブログ禁止となったそうです。

  • 最初は、経営陣はアナリストのブログ活動に好意を持っていた。
  • しかし、アナリストが積極的に個人ブログを書き続けたところ、アナリストが強力な「個人ブランド」を構築してしまった。
  • その結果、何人かの優秀なアナリストがForrester社を離れる(恐らく独立かと思われます)という行動に出てしまった。
  • 優秀な人材が同様なことをして離れることを危惧し、経営陣は社外サイトでの個人ブログの執筆を禁止し、今後は社内サイトのForresterブランドでのブログのみ執筆を許可するようにポリシーを変更した。

つまり、個人ブログは個人ブランドに繋がり、個人ブランドは流出に繋がるということを危惧して、個人ブログを禁止したというように上記記事には書かれています。

※なお、パーソナルな事柄や、自分の担当領域以外についてのブログはよいそうです。ただ、これは実質、個人ブログで仕事に関する情報の発信を禁じたことに等しいと思います。

個人ブログ禁止は諸刃の剣

上記の流れだけを見ると、経営陣の決断は当然のように見えるかもしれません。

しかし、個人ブログ禁止により、以下の様な色々なデメリットが考えられます。

  • ブロゴスフィアへの影響力が低下する
  • 業界関係者とのネットワークが(ブログを持つ場合に比べて)作りにくくなる
  • 短期的には、逆に人材流出を招く可能性がある(個人ブランドを構築できないことを不満に思ったアナリストが流出する可能性がある)
  • 新しくアナリストを雇用しようとする際に、個人ブログを書けないというポリシーでは魅力的な人材を惹きつけられなくなる可能性がある

このポリシーはまさに諸刃の剣という感じはします。

ただ、Forrester社のケースは、少し特殊である可能性はあります。アナリストファームは、「分析」そのものが売り物なので、その売り物を個人ブログで売られて(書かれて)個人ブランドを作られてはたまらないと経営陣が思ってもおかしくない感じがするからです。

もしこれが、売り物は別に存在していて、ブログはマーケティング目的(広報目的)で行うという企業であれば、状況は変わって来るような気もします。そういったケースでは、恐らく、企業としてのメッセージの一貫性をどうやって守るかですとか、コンプライアンスをどう遵守するか、そういった別のリスクの方がより重要な検討項目となってくるのだと思います。

Forresterの決断がどうだったのかという判断は私には難しいですが、なかなか議論しがいのあるトピックだと思います。