競合他社からTwitterで突っ込みが入る時代に

近ごろ、企業のマーケティング担当者の多くはTwitterアカウントを持っていて、アナリストやプレス、そして顧客に情報発信をしています。Twitterは、優れた双方向コミュニケーション性などいろいろな長所を備えており、マーケティングツールとして今後も広がっていきそうです。

しかし、その反面、Twitterでの情報発信には従来には無かったリスクもあります。今日はそのリスクの一面について書いてみたいと思います。

競合他社による厳しい突っ込み

それは、発信した情報に対して、競合他社から厳しい突っ込みがTwitter経由で入るというリスクです。先日、実際にそういったシーンを見てしまいました。

10:49AM
chuckhollis: @valb00 why is there no mention of "writes" in any of the NetApp PAM literature? Read only, can't be used with writes? Thanks

上記は、Twitter上で送られた、@chuckhollisから@valb00への公開質問状です。

この二人は、ライバル関係にある企業のマーケティングを担当されている方々です(@chuckhollisはEMCのGlobal Marketing CTO、@valb00はNetAppのCTOオフィスに勤められている方です)。その一方が、もう一方に対して公開で質問状を送っている訳です。

質問内容は厳しいものです。「NetAppのホワイトペーパーに、Writeが明記されていない部分があるが、これは実は制限事項なんでしょう?」と、NetApp社として触れたくない(であろう)ところを白日の下にさらそうという質問です。

対応には非常に注意を要する

@chuckhollis氏は、ある程度の成算があって(裏をとった上で)上記の質問をしていると考えられます。NetAppにとって答えにくいところを、あえて聞いてきているわけです。

こういった質問が来たとき、どう対応するか?非常に注意を要するケースだと思います。

会話は外から丸見えですから、下手な回答を返すと、赤っ恥をかかされてしまう可能性があります。また、その失態がRetweetで急速に伝播してしまうというリスクもあります。

答えないというのは一つの手です。しかし、多くのケースでは、答えた方が賢明なのではないかと思います。何も反応をしないと、情報を隠しているといったようなネガティブな印象を聴衆に持たれてしまう可能性があるからです。

回答はした方が良い、しかし質問に対するよい回答は持っていない。ここに難しさがあります。

果たして、@valb00はどのようにこの質問に対応したのでしょうか?

@valb00氏の対応

@valb00は、まず適切な文献をきちんと読んだのかどうか@chuckhollisに確認します。

10:56AM
valb00: @chuckhollis PAM does not operate in vacuum. See point #3 by @sakacc 's 19:35 timestamped comment here http://bit.ly/71siRe

@chuckhollisは、読んだと答えます。そして再び回答を迫ります。

10:59AM
chuckhollis: @valb00 Read it, didn't answer the question. NetApp PAM does not support disk writes -- true or false?

ここで@valb00が面白い戦略に出ます。「あなたが最後に妻を殴ったのはいつですか―みたいな遠まわしな誘導尋問みたいなことはやめてくれ」と@valb00。(ここは恐らくジョーク気味に言っていると思います)

11:06AM
valb00: @chuckhollis "When did you last beat your wife?" Let's please stop silly leading-question-style bickering, shall we? For @storagebod's sake!

詫びを入れて引き下がる@chuckhollis。

11:10AM
chuckhollis: @valb00 No hostilities. Someone asked me, I asked @valb00. Shouldn't have done that. Sorry. But I have my answer -- thanks!

メリークリスマスで一件落着。

11:20AM
valb00: @chuckhollis Merry Christmas Chuck!

@valb00氏の対応の優れた点

「あなたが最後に妻を殴ったのはいつですか―みたいな遠まわしな誘導尋問みたいなことはやめてくれ」というコメントが素晴らしいと思いました。ジョークを入れてお茶を濁しつつ、質問をしている相手を悪者に仕立て上げる、という感じでしょうか。

やはり、マーケティング担当者はこれぐらい巧みな会話術を持っていないといけないなと思いました。(質問には全然答えていないのが凄い)

日本でも、競合他社からTwitterで厳しい突っ込みが入る時代が来るかもしれません。そういった際に、この例が参考になれば幸いです。