起業家とビジネスプランを作ったときの話
今日は、前回のエントリ「アメリカで起業家を雇ったときの話」の続きです。起業家(EIR)を雇用した後は、ビジネスプラン作りに取り掛かりました。
仮説をヒアリングで検証していく
EIRはこちらで何年もベンチャーの経営陣をやっていた方でしたから、豊かな人脈を持っており、気軽に話を聞きにいける業界関係者や顧客を何人も知っていました。そういう方々に次々にアポイントを採って、顧客ニーズや業界動向について情報収集しました。
なお、EIRを雇用して情報収集を始める前に、大体の製品イメージは作ってありました。製品イメージが曖昧なままに情報収集をしても、うまく情報が収集できないと言うか、ピントがずれてしまうと思いましたから、その前に製品イメージの仮説を立てておいたのです。
仮説作りにはかなりの時間と労力を費やしていました。公開情報を隅から隅まで集めたのはもちろん、現地の業界関係者をコンサルタントとして雇って業界内部の情報収集もかなりやりました。その上で議論を研究所と事業部で何度もやりました。
しかし、議論がある程度深い段階まで来ると、実際にそういう製品事業を立ち上げた経験の無い人だけで議論することの限界を感じる様になりました(日本市場での立上を経験された方はもちろんいらっしゃったのですが、米国市場でその事業ドメインでの立上げ経験をもっていらっしゃる方がいませんでした)。そのために、EIRを雇用するという計画が出てきたとも言えます。EIRの雇用は、事業立上のリーダシップをとれる人材を雇うという目的以外に、仮説の検証という目的もあったのです。
製品イメージ、マーケティング計画、、、様々なものをビジネスプランとして統合する
EIRと一緒に業界関係者や顧客と話していくと、色々なことが見えてきました。実際の顧客のニーズ、規模感、不足している機能、競合他社の動向、、、などなど。それらの情報を基に、仮説に次々と修正を加えていきます。自分たちの仮説が本質的な所で間違っていなかったことに安堵すると共に、色々と新たな問題も出てきて、それへの対処策の検討で忙しくなりました。一つ一つ、技術陣と議論して、解決策を見つけていきました。
そして、大体の製品イメージが見えてきたら、それを基にビジネスプランの作成に取り掛かりました。組織をどのように拡大するか、販売組織をどうするか、マーケティングをどのように行うか、いくらで売るのか、などなど…。ここは、事業立上げ経験を持つEIRの能力が如何なく発揮されるところです。
また、事業のバックエンド的なところ、例えば、開発のコスト、原価、サプライチェーンなどを明確化するためには、開発陣や事業部との議論が必要になってきます。そうして様々な人と議論をし、方針を定め、それを一つのプランに統合したもの、それがビジネスプランになります。
ビジネスプランの作成はEIRが主導しましたが、その細やかな作成プロセスには非常に驚きました。ここについては、以前ブログに書きましたので、ご興味のある方は参照頂けると幸いです。
緻密なビジネスプランを作るメリットとは - Wataru’s Blog
そうしてビジネスプランを作り上げた後は、それを上層部から承認してもらうためのプレゼンテーションを行いました。この話については、また後日、書いてみたいと思います。