クラウドストレージを売る秘訣 「クラウドと言う名前を製品に付けるな」

本日は、クラウドストレージサービスビジネスを提供するまでのステップ(Steps to building a cloud storage services business) という記事をご紹介したいと思います。

ステップは全部で5つあって、表題の件はStep 5に書かれています。

Step 1: Think Big

「小規模にビジネスをやるという考えを捨てて、大規模を目指せ」とのこと。クラウドストレージサービスは規模の経済が効くビジネス形態なので、当然の選択ではありますが。

例えば、San Jose市にあるBC Networksという小規模なMSP (Management Service Provider)がリモートバックアップサービスを立ち上げたときは、二年間で500〜600TB(テラバイト)のデータを集めるビジネスプランだったそうです。

Step 2: Determine what hardware you'll use

見出しをそのまま訳すと「どのハードウェアを使うか選べ」ということなのですが、文中で書かれていたことは、「コスト面を考えて、ハードウェアはコモディティのものを選べ」ということでした。

コモディティのハードを使えば、毎月$0.4-0.5/GBの価格でサービスを提供したとしても70%のマージンがサービス提供者にあがるはずだという試算が紹介されています。

Step 3: Ensure data protection

複数サイトにデータの複製を持て、と。レプリケーションによる災害対策プランを持てということですね。

Step 4: Determine how to handle data access

顧客にどういったAPIでアクセスさせるかを決めろ、と。例として、Mezeoのようなフロントエンドをスケーラブルなバックエンドストレージの前に置くやり方が示されています。

Step 5: Consider marketing

そして、最後にマーケティングについての話です−−−クラウドと言う名前を製品に付けるな」。顧客はクラウドのことをまだ信用していないし、求めているのはクラウドではなくて日々の彼らの業務を助けてくれるものである、だからクラウドを前面に出すな、と。これはMSPのBC Networksの方のコメントです。

これは一見、逆説的で面白いなと思いました。

少し考えてみると、なるほどなと思います。リモートバックアップのアウトソーシングというのは昔からあるサービスであって、顧客にそれを購入してもらう際に超えなければならない心理的障壁はそんなには高くないはずです(色々なところで既に使われているという意味で)。そこで、クラウドという新しい概念を入れると、確かに目を引くかもしれませんが、その新しさは顧客に新たな心理的障壁を感じさせる可能性が高いと考えられます(まだあまり普及していないので)。

BC Networks社のマーケティング資料では、彼らのストレージシステムが、スケーラブルで、信頼性が高く、マルチサイトに複製されていることを示しているそうです。ただし、そこではクラウドについては“全く”言及していないとのこと。

クラウドストレージというテクノロジーは使う。しかし製品にはクラウドの名前はワザとつけない。 というやり方です。

流行りに乗ってバズワードを使うことばかりに目を奪われず、顧客にとって買いやすいように製品をパッケージングする―あたり前ですが、ときどき忘れてしまうことでもあります。自戒の念も込めてポストしてみました。