HPとMicrosoftの提携について考えてみる―なぜ業界は垂直統合へと向かうのか

HPとMicrosoftが大規模な提携を発表しましたね。(TechCrunch, Agile Catなど)

提携の内容は各種メディアを参照頂くとして、ここではこの提携に関しての私なりの考察を少し述べさせて頂きたいと思います。

VCE連合への対抗

昨年11月にVCE連合(Cisco/EMC/VMwareの提携)が発表された際に、それについて記事を書きました。そして、その記事の中で以下の様に述べました。

最近のHPとCiscoの対決姿勢の高まりを考えると、恐らく中期的にはVMwareからMicrosoft・CitrixへHPは比重を移してくるような気がします。

上記で考えていたHPがVCE連合に対抗する動きが、今回来たのかなと思います。思ったより早く来たなあという感じです。

垂直統合モデルへの回帰

また、上記のVCE連合に関する私の記事では、以下の様にも述べました。

最近、OracleのSun買収や、Brocade買収の噂など、ITプラットフォーム業界は垂直統合的な動きが目に付きますが、この提携もその一つに位置づけられるかもしれません。水平分業によるBest Of Breedから垂直統合へと時代は変わりつつあるのでしょうか。

今回の提携も、この垂直統合の流れに沿ったものといえそうです。IT業界は、コンポーネントごとにベストの製品をそろえるBest Of Breedモデルから、垂直統合モデルに急速に回帰している感じがします。

では、なぜこういった動きが進むのでしょうか?今日はここを考察してみたいと思います。

なぜ業界は垂直統合へと向かうのか

私は、この様な流れを作った大元の原因はGoogleではないかと思っています。

Googleは、大規模・高性能・高信頼性を持つシステムを、IT機器ベンダの力を借りて作るのではなく、コモディティハードウェアとオープンソースソフトウェアを使って作り上げました。そして、そのシステムは、IT機器ベンダのソリューションよりも結果的に低コストでスケーラブルなものでした。

Googleが成功したのを見て、多くのデータセンターが同じようなアプローチでシステムを作り始めています。

このままIT機器ベンダが何もしないでいれば、次世代のクラウドシステムを担うデータセンターたちは確実にコモディティハードウェアとオープンソースソフトウェアに移行し、IT機器ベンダの産み出せる価値はどんどんと減っていくのではないかと思います。

つまり、IT機器ベンダは、コモディティハードウェアとオープンソースソフトウェアに対抗できる新しい価値を提供しなくてはならない状況にいるわけです。そこで、IT機器ベンダは、従来分割されていたレイヤを垂直統合することで新たな機能を産み出し(※)、通常のコモディティハードウェアとオープンソースソフトウェアを単に組合わせたシステムを凌ぐ価値を提供しようとしているのではないか、その様に思いました。

※色々あると思いますが、例えて言えば、仮想化技術とネットワーク技術とストレージ技術ををうまく合わせたダイナミックな仮想マシンやデータの移動など。