2010年クラウドバブル崩壊説について考えてみる

今朝、Twitterを見ていて気になったつぶやきがこちら。もうすぐクラウドのバブルが崩壊するぞ、というつぶやきです(発言者は米国ESGグループのアナリストです)。

@stevedupe: The Great Cloud Collapse is coming - just like the Silly SSP demise of a decade ago. Only legit biz models will survive. VC's will cry.
意訳: クラウドバブル崩壊が近づいている―10年前に愚かなSSPが消滅したときと同じだ。きちんとしたビジネスモデルを持った者のみが生き残るだろう。ベンチャーキャピタルは悲嘆に暮れるだろう。

これを読んで、先日読んだ記事を思い出しました。似たようなことが書かれていたからです。2010年にクラウドの大惨事が起きて、クラウドの成長が阻害される、と。

2010: Cloud Collapse, Platform Wars and Microsoft Loses All! | Jim Louderback

“There will be a Cloud Catastrophe in 2010 that limits Cloud growth by raising security issues and restricting enterprise trust.”
意訳: 2010年に、クラウドの大惨事が起こる。それにより、セキュリティ問題が提起されると共に企業からの信頼がかなり制限され、クラウドの成長を阻害するだろう。

The catastrophe will take one of two forms – either a huge security breach, or a lengthy outage. This will empower CIOs to build out their own hardened data centers, “instead of shipping the company jewels to Amazon”.
意訳: 大惨事は以下の二つのうちどちらかだろう―大規模なセキュリティ侵害、もしくは長時間のシステム停止だ。これにより、CIOたちは、アマゾンに会社の大事な情報を預けるかわりに、彼ら自身のデータセンターを建設するようになるだろう。

これらを見て思い出したのは、昨年のガートナーのハイプ曲線です。
ガートナーの「ハイプサイクル2009」発表。クラウド、電子ブックリーダーは絶頂期、RFIDは幻滅期 - Publickey
2009年のハイプ曲線では、クラウドコンピューティングは絶頂期にあり、今後は反動期、つまり、過度に高まった期待に対して実態が明らかになる時期に入ると予測されていました。

ハイプ曲線の反動期の定義@ITから引用します。

■反動期 − 幻滅のくぼ地
過度に高まった期待に対して実態が明らかになると、「大したことはなかった」と囁かれるようになる。場合によっては、メディアが「○○は失敗だった!」といったバッシング記事を掲載し、市場における投資(購買)意欲は減退する。

つまり、ガートナーのモデルに従えば、2009年はビジョンが先行して期待が最高潮に高まったが、2010年から実態が明らかになって投資意欲が減退することになります。

上記のアナリストたちは、このような反動の時期がそろそろ来るであろうと感じ、警鐘を鳴らしているのではないかと思います。

その反動の一環として、今までは流行に載っていたために投資を受けられていたベンチャーが追加投資を受けられなくなって潰れたり、セキュリティ問題が表面化してユーザのクラウド採用の動きにゆり戻しが起きたり、と言ったことが、これから起こってくるのかな、と思います。もちろん、その反動は、最終的にクラウドの安定的な採用が始まるために通らなければならない道なわけですけれども。